手持ちのレジンアイの黄変が激しくなってきたので、久しぶりに新しいレジンアイを作りました。ドール用のレジンアイを作る方法はいろいろありますが、一般的なのは日新レジンのクリスタルレジンを使って作る方法です。ドール用のレジンアイが普通のガレージキットと異なるのは、一切透明部分の中に気泡が許されないことで、目立つ気泡が入ると捨てるしかないです。普通のガレキ用の透明レジンの場合、硬化時間が短すぎて排出量の大きい真空脱泡機がないと気泡がない部品を作ることが難しいですが、クリスタルレジンの場合は硬化時間が24時間以上あるので、適当な加圧脱泡でも綺麗なアイを作ることができます。
今回は保存していたクリスタルレジンも古くなったので、硬化剤自体が黄変していましたから、東急ハンズでクリスタルレジン2を買ってきました。350gで3800円ぐらいです。
このレジンでは前のバージョンより耐候性が向上しているので、黄変がほとんどしなくなっています。ちなみにレジンが350gぐらいあると、20mmアイで200個ぐらいは作れますから、特に他に何も作る予定のない人は、もうちょっと容量の少ないものを使うとよいでしょう。
次にレジンを流し込む型を準備します。型はシリコン型を使うのがいいですが、アイの場合、単なる半球状の単純な形状ですから、ダイソーで売っている「おゆまる」という樹脂を使うのが安くていいです(粘土などを置いてある売り場にあります)。これは熱を加えると柔らかくなる樹脂で、これをお湯につけて柔らかくしてから、原型となるアイを押しつけて型を作ります。
アイの虹彩パターンはインクジェットプリンタを使って、写真出力用光沢紙に出力します。虹彩パターンは自前で起こしてもいいですが、適当な画像データから目の部分を切り出して、変形、拡大、調整をすることもできます。キャラドールのアイを作る場合は、元キャラクターのイラストを元に作るのが楽でいいかと思います。なお、ツールはPhotoshopCS2をうちでは使っていますが、結構小さいパターンから拡大をかけても、十分使い物になるパターンにできます。
パターンを準備したら、レジンを調合します。クリスタルレジン2の場合、重量比で主剤:硬化剤=100:40の割合で混合します。許容量は±5%以内ですから、4g程度で調合すると許容誤差±0.2g程度しかありませんので、なるべく精度の高い秤で量ります。普通は、0.01g単位で出る海外製の安物の秤でも十分でしょう。うちでは無駄に島津製作所の自己校正分銅を内蔵している高精度電子天秤なんかありますから、これで調合していますw ちなみに調合に失敗すると、比重の重い主剤が多いとアイの先端が硬化不良になり、逆だとアイパターンのある底が硬化不良になります。
撹拌をしっかり行いますが、ここで電熱器を使ってちょっと液剤を適度に温めます。これを行うことで、液剤の粘度が下がるので気泡が発生しにくく、さらに撹拌もしっかり行われることで、撹拌不足の硬化不良も起きにくくなります。ただし、液剤の硬化時間が短くなりますから、可使時間が短くなるので、手早く型への注入、アイパターンの設置を行いますが、通常は可使時間は50分程度なので、そんなに急がなくても問題はありません。
あと、アイパターンは型に入れる前にレジンに漬けて、紙へレジンを染みこませて紙の繊維の間の空気をきちんと抜いてください。時間があれば、あらかじめレジンを染みこませた状態で硬化させてコーティングした状態になったものを入れると確実です。
型の半分程度レジンを注入、アイパターンを設置したら、加圧脱泡機に入れて加圧しつつ硬化させます。加圧脱泡機といっても、単なる圧力鍋に自転車の空気バルブをつけただけの簡単なもので、自転車のタイヤのポンプを使って手動で空気を入れて加圧していきますw 圧力鍋でかけられる圧力は80kPa程度ですが、アイを作るのには十分です(安全弁を塞げばもっとかけられますが、大変危険なので推奨しません)。これでガスの発生を抑止した状態で硬化させます。
24時間ぐらい置いて、半分硬化したぐらいで、今度は白目側の部分を形成します。前と同様にレジンを調合したあと、エポキシ樹脂用の白の顔料を少量混ぜます。これを型に上乗せする形で注入したあと、あとはそのまま硬化させます。このときは加圧は不要です、というか加圧すると下の透明層を白色レジンが浸食してしまいますから、やってはいけません。
さらに36時間程度待って、完全硬化したら完成で、型から抜きます。ただ、簡易型のため抜いた状態のままですと艶があまりないので、耐水ペーパーで2000番ぐらいまで磨き込んだ後に、コンパウンドを使って艶だしします。あまりキニシナイ人は、単にクリアー塗料などを塗ってしまうという手もあります。
完成品がこれ。気泡は左上の1つにごく小さいのが1つあるだけですが、装着する分にはわからない程度なんで、問題なしです。ただ久しぶりに作ったので1つだけ思いっきり虹彩の位置がずれてますので、また作り直しますか・・・orz
あとは適当に装着写真。モデルはユナで、ウィッグはこの前DDギャザリングで買ってきた志野ウィッグ黒です。
あとで、kaiko用の16mmアニメアイも作りましょうかね。
主にドールや電子工作関連を中心にしたブログです。
もろぼし☆らむ様
はじめまして、シーベと申します。
実はレジンの気泡ぬきで検索したところ、もろぼし☆らむ様のブログにたどり着きました。
随分前の記事でしたが(2008年11月12日ドール用レイジンアイの製作)、質問がいくつかあります。
・圧力鍋を利用した加圧鍋でレジンを加圧した場合、型いっぱいに流し込んだレジンはあふれ出てしまうのでしょうか?(具体的に加圧するとレジンがどのような状態になるのかわからないので教えてください・・・)
・私は主にレジンアクセサリーを製作しているのですが、レジンの中に花やラメなどを封じ込めます。それを加圧した場合、
中に封入したものは全てレジンの底に沈んでしまうのでしょうか?
・2層にする場合、1段目を完全に硬化した後に2層目も加圧する場合は、混ざり合わないできちんと2層になるのでしょうか?
・クリスタルレジンを使用して黄変が始まったと記載されていますが、製作してどのくらいで黄変が始まったのでしょうか?実は今私もクリスタルレジンを使用しているもので・・・。
以上、お暇なときで結構ですので、ご迷惑でなければご回答いただけたらと思います。
よろしくお願いいたします。。
ご質問の件ですが、わかる範囲にてお答えします。
——————-
>・圧力鍋を利用した加圧鍋でレジンを加圧した場合、型いっぱいに流し込んだレジンはあふれ出てしまうのでしょうか?(具体的に加圧するとレジンがどのような状態になるのかわからないので教えてください・・・)
——————–
おそらくですが、溢れることはないかと思います。というのは、圧力は全ての方向から均一にかかるためです。
同一の理由から、花などを封止した場合にも沈むことはないとは思われますが、レジンが花の組織に浸潤した場合に何が起こるかはわからないので、もしかしたら沈むかも知れません。
レジンアイの場合、虹彩を印刷した紙を封入しますが、これが沈むようなことはありませんでした。
——————-
>・2層にする場合、1段目を完全に硬化した後に2層目も加圧する場合は、混ざり合わないできちんと2層になるのでしょうか?
——————-
レジンアイの場合、2層目を作るときに圧力をかけなければレジンの粘度が高いため問題ありません。ただし、記事にも書きましたが、圧力をかけたい場合には、型と1層目の隙間から2層目が浸透してしまうときがあるので、そのままではできないと思った方がいいと思います。なにか別に方法があるかも知れませんが、ちょっとわからないです。
レジンアイでは2層目は白目の方のため気泡を気にする必要がないため圧力なしで硬化させるので、問題はないのですが・・
——————-
>・クリスタルレジンを使用して黄変が始まったと記載されていますが、製作してどのくらいで黄変が始まったのでしょうか?実は今私もクリスタルレジンを使用しているもので・・・。
——————-
2年ぐらいで目に見えてわかるようになります。うちに4年目のクリスタルレジン1のアイがありますが、真っ黄色になってます。
クリスタルレジン2で作った物はいまのところ大丈夫のようですが、1年目なので油断はできません。
あまり役に立たない情報かも知れませんが、参考程度で。
このページを見てレジンアイを作ろう!と思い立って作ってみたのですが、どうしても失敗します。
透明部分に気泡が出来てしまいます。
よろしければ解決法をご教授下さい。
透明部分の気泡は完全に抜くには真空脱泡機を使うしかないです。その場合には、型もシリコンで作る必要があるかと思います。
その他、工夫することとしては、記事にも記載していますが、液剤を温めて使うことと、湿度の低い環境で作ることです。
作る環境がマンションなどでしたら、一度部屋を換気して湿度を十分に下げてから作業するといいでしょう。
はじめまして!
キャラに合ったレジンアイを作成しようと思い調べていたらたどり着きました。
とても参考になる記事でした。
レジンアイ作成が初めてのわたしにも分かり易かったです。
こちらの作成方法を元に色々と試してみたいと思います!
ちょこちょここちらのブログを拝見させて頂きますので今後とも宜しくお願いしま。
初めまして。
一つご質問させていただきたいです。
こちらの記事を参考に挑戦したみたのですがどうしても気泡ができてしまいます。
目立たないレベルなら良いのですが、かなりの量の気泡ができます。
ちゃんと改造した圧力鍋を使ってはいるんですが……。
気泡ができなようにする方法をご教授下さい。
お願いいたします。