1年ぐらい前にヤフオクを見てたらアウトレット品を格安で輸入代理店が売っていたので、安さにつられて買った物です。訳あり品なので(一部破損あり)ヤフオクでよく配られているクーポンを使って送料込3.2万円ぐらいでした。60cmのドールのシームレス素体などは、材料が違うのもありますが、こんな値段では買えないので。。
昔にドールを始めた頃にダイキ工業のシームレスの足を買ったことがあるのですが、扱いづらい割にあまりメリットもなくて高かったのでそれ以来はシームレスの素体から離れていたので、久しぶりの購入です。
結構有名なラブドールみたいなので、いまさら普通にレビューしたところでつまらないのでブログに書いていなかったのですが、先日BOOTHも開設しましたので、こちらもオリジナルの服を売っていきたいな、というのもあって、その関係で書いてみました。ただ、やっぱり普通に素体紹介とかしてもYoutubeでレビュー動画を見た方がいいので、自分で色々手を加えたところや何着か服を試作したので、そちらのご紹介など。
ドールスタンドを自作する
到着して持ってみたのですが、第一印象は「結構重い・・」でした。大体9kgぐらいあるので、添付の簡単な下着を着けようとしてもかなり一苦労です。あと、柔らかいので下手に扱うと傷を付けそうなので、扱いも慎重にしないといけないということもあります。そんなわけで、スタンドを作らなきゃ、、っということになりました。
その手のドールでは自立させるのには通常は発注時で最初に自立オプションをつけておいて、素体の内部骨格を足の下まで通すようにすることで実現するようなのですが、当然アウトレットなのでそんなものはありません。
このようなドールを自立させるには、等身大ではよくある方法ですが、吊り下げ式のスタンドを作る必要があります。90cmサイズのラブドールでは一般的にボディ側は首にM8ねじの穴があるので、吊り下げる場合にはM8ねじに対応したぶら下げ用のフックをホームセンターで買ってきて、どこかにぶらさげることでボディは安全に保管できます。ちなみにドール製造時もそういう風にぶら下げて、工程間を移動するようです。ただ、それだと完全に危ない感じになってしまいますので、やっぱりぶら下げた状態でヘッドも載せたいものです。そうすれば服を着せて飾ってもおけます。
そのため、このような構造のスタンドを作りました。スタンドのベースは昔オリエント工業で売っていた等身大ソフビドール用のスタンドで、これを改造しています。ただ、こちらは持ってなくてもホームセンターで売っているイレクターを使って自作できるはずです。
スタンドとボディは首の横から斜めに曲がった3mm厚程度の台形形状のステンレスステーとL字のステーを組み合わせたものを作り、それを経由して結合しています。スタンドとの接合はブログでもよくでてくる水道管を使っています。T型の水道管に15cm程度の長さがあるM8ねじと大型ワッシャーで、L字のクロームメッキのステー鋼板を止めています。ドールとの接合部は台形のステーを使うことで、首の干渉を最小限にしています。このようにすることで、ある程度支柱からボディを離した状態でつるすようにしました。これは、服の採寸や調整を簡単にするためです。ただ、あまり支柱から離しすぎると重心が前に行って倒れやすくなるので、多少揺らしても横転しない程度の位置にぶら下げるよう調整しています。
首側の接合はM8ネジを金ノコで切って、切断部にマイナスドライバーで動かせるように筋をつけています。これをボディのM8ネジのところにつなげて、ステーとは薄型のナットで結合します。この部分は、ねじを使わずに元々のジョイントの金具でやってもよかったのですが、それだとヘッドが移動しにくいので、ネジにはまるように置けば済む形にしています。
こうすることで、ヘッドを差し込んだ状態でおいておくことができます。こうしたスタンドを使い始めてから、特に服を作るときに採寸や着せつけテストなどが本当に楽になりました。
服を作成する
当たり前といえばそうなんですが、当然こんな90cmの特殊なボディ用の服はありません。ということでまずは適当に1つ作ってみるか、と思い立ち、ニット生地が手元にあったのでこれでセーターを作ってみました。おおまかに採寸して型紙を起こし生地を裁断して、ロックミシンで縫い付けただけなので、数時間で1着を作成。
この素体の場合、バスト50cm、ウェスト30cmぐらいなので、それを基準に作れます。トップとアンダーの差は20cmなので、この素体はEカップになります。
今回のようなニットのセータ的なものは、生地がかなり伸びるのでそんなに厳密に作らなくても大丈夫ですが、ロックミシンは必要ですね。これは完全に試作なので、裏を止めるようにまでは作ってないので、撮影は後ろでピンで閉じてるだけです。
市販の下着を改造する
その次は、付属の下着は本当におまけみたいなものだったので、ちゃんとした下着を作るかな、と思い立ちました。自前で完全に型紙を起こして作ってもいいかな、と思ったのですが、折角等身大に近い形だから市販の下着を改造したほうが早いんじゃないかな?と思って試しにやってみました。
結果は、たぶん1から作ったほうが早いという結論です。ショーツはそこまで大変じゃないですが、ともかくブラジャーはワイヤーが入ってたりするのとカップ側は立体形状なので、あとから縮小する形状合わせするのが難しいという感じですね。写真の通りカップを切って成形したり、アンダー側の形状調整をしたりと本当に面倒です。
結論としては、ショーツだけなら改造はあり、ブラは1から作った方が早いという感じです。ブラは結構強引に直してるので、レースのバランスやブラ自体のシルエットも色々直しきれていない感じです。
本格的なバニー服を作る
いわゆるボーンの入っている立体的なバニー服を作ってみました。安物のコスプレ服ですと、ワンピースに透明な肩紐がついている、水着の延長のようなものなのですが、本来はボーンという骨組みを入れて肩紐なしで、かつボーンでコスルセットのように体を締め付けることで矯正下着の役割も果たし、美しいスタイルを出すようになっています。
今回作ったのは、襟、カフス、ワンピースと網タイツ、兎耳カチューシャです。なお、ボーンを通しているのは真ん中と乳首の真上を通る場所、あとは背中側のファスナーの左右にある部分です。
網タイツ
バニー服で特徴的な網タイツは、最初は伸縮性のある黒のパワーネットで作ろうと思ったのですが、買ってきた物がパッチテストで即色移りしてしまうことがわかったので、ソフトチュールで作ることにしました。こちらは1ヶ月着せっぱなしでも一切色移りがなかったので、安心してそのまま着せていられます。
ただ、ソフトチュールは伸縮がないので、ぴったりフィットさせるために精密に型紙を作って、なるべく足の形状に合わせて作っています。といっても、やはり限界があるのでパワーネットで色移りしないものが見つかれば、そちらで作るんですけど・・
こちらも試作で端処理はしてなかったりしますが、ソフトチュールは切りっぱなしでも特に問題ないですし、服の内側に隠れるので特にそのままでも問題はありません。
網タイツを穿かせるときは、つま先を入れるのはそのままだと不可能ではないですが面倒なので、ポリラップで包んで穿かせています。
ワンピース
ワンピースは光沢のあるストレッチの青い生地です。これにプラスチックのボーンをいれて立体の形状を出しています。またアンダーバストには、太めのステンレスワイヤーを入れて骨組みを作ります。
裏地は白です。表地と中表で縫ってひっくり返したあとに青色の糸でステッチを入れましたが、この糸が微妙に色移りするものでしたので、ステッチの裏側の裏地にサテンリボンを接着剤で貼り付けてます。拡大してみればわかりますが、補修跡が結構汚いです。背中のファスナーはコンシールファスナーを使っています。そのため、ファスナーを閉じると一切見えなくなります。
尻尾は手芸屋で売ってる毛玉を薄い面ファスナーで止める感じです。
ウサミミは子供用のプラスチックのカチューシャに生地を縫い付けています。耳の部分にはアルミ線を入れていますので、自由に形状をいじれます。あとカフスと襟は特に特筆することはないですが、厚めのしっかりした布を使って、安っぽく見えないようにしています。
色移りとの戦い
一応濃い色の生地や糸を使っていたので、事前にすべてパッチテストはしていたのですが、糸から移ってしまいました。原因はステッチで入れた青い糸です。数日ぐらいなら大丈夫だったんですが、1週間でアウトでした。横乳の部分や股の部分など過大な圧力がかかったところがNGでした。
そんなわけで最終的にはステッチの裏の糸が出ている部分も、白のリボンを布用接着剤で有名な裁ほう上手で接着後、さらにアイロンで強固に熱圧着してカバーしてしまうことで対応しましたが、ボディへの色移りをどうするかです。
一応経験上可塑剤の多いものは1ヶ月も放っておけばだいたい治るのですが、今回は試しに手持ちのボークスの移染修正用の薬剤のドリームレスキューを使って治るか試してみました。
結果は良好で1日でかなり色移りが落ちて、数日できれいになりました。TPEでも、ちゃんと使えるんですね。手持ちでこの薬剤があるようでしたらおすすめです。
雑感
ポーズを取ってる写真をみればわかりますが、このドールは凄く間接の自由度が高く、よく動きます。それで結構安いんですから、ここ何年かで等身大ドールの分野は一気に進歩しましたね。
今回の購入したは90cmサイズですが、150cmクラスですと正直オビツ150持っていますが、同じような感じなら買い直したくなるぐらいいいですね。たぶんオビツ150は、今のこういうシームレスドールに価格や品質含めて勝てていませんので。唯一勝ててるのは重さぐらいでしょうかね。