先日に新しく家を建てたのですが、ネットを見てると土地家屋調査士に依頼するのではなく、家の建物表題登記を自前でやっている方がそこそこいたので、今回試しにやってみました。まぁ、もう二度とやることはないとは思うのですが、試しにやってみようという奇特な方もいるかも知れませんので、備忘録的に自分で引っかかったところとかを書いておこうと思います。ちなみに、専門家に依頼すると10万ぐらいはかかりますが、自分でやれば交通費や資料となる本などの実費と自分の人件費だけなのでお安くできます。
なお、対応してくれた中の人曰く、今まで担当した中で自分で申請した人は自分含めて3人だけだったというお話を聞いて、思ったよりやってる人は少ないみたいですね。
ちなみにハウスメーカーは県民共済住宅を使ってます。ある程度は自分で色々やらないといけない代わりに安くて品質の良い家が建てられるのでオススメです。
この記事では、申請方法の指南というより、実際にやってみて失敗したところや注意点などを中心に書いてます。申請方法の記事はいくらでも他に詳しいブログがあるので、そちらを参照ください。そちらを事前に読んでいる前提でこの記事は記述しています。
そもそも建物表題登記って何?
建物表題登記というのは、新築した家を公的に登録するもので、絶対にやらなければならない作業です。目安として建築後1ヶ月以内に申請をしないといけません。そうしないと、過料(前科はつかない(犯罪扱いにはならない)行政罰としての違反金)が課せられる旨が記載されていますので、早めにやりましょう。最近話題の相続登記もこの部類の違反金があります。なので、期限がある程度ある申請ですから普通は土地家屋調査士に依頼するのですが、自力でやる場合には事前に十分確認してできそうな場合だけ、自分でやる感じにしておいた方がいいかと思います。まぁ、多少は期日が過ぎても上記の通りちゃんと登記をやらせるための違反金という扱いなので、あまり問題は無いとは思いますけどね(これは、あくまで私見です)。
管轄法務局での微妙な違い
ネットでみていると見かけるのが対象となる地方を管轄する法務局によって微妙に書式が違うという話です。何が違うのかと言えば、申請で使う言葉の解釈とか、使っていい紙などです。今回は、埼玉県さいたま市の法務局に限った話になりますので、その旨ご了承ください。
なお法務局の想定する書式を外れた書き方をすると出し直しになるので、できれば自力で出す場合には郵送申請ではなく法務局への直接持ち込み前提で考えておいた方がいいかもしれません。ちなみに自分は1回出し直しをくらいました…。リテイクされたのは新築日付の部分ですが(それ以外もあり)、一応最初に電話口で確認したのですが、たぶん専門じゃない人が回答したせいか間違った内容を教えられた模様です。
建物表題登記の面倒くさいところ
ほぼ1点ですが、ある程度正確な建物と建築位置の縮小図面を提出しなければならないところです。逆に言えば、図面さえなんとかなれば建物表題登記は終わったようなものです。図面以外は、書面に規定のフォーマットで記載すればいいだけなのでラクチンです。今話題の相続登記も規定のフォーマットでの文書だけ用意すればいいので、建物表題登記と比べれば簡単です。
各階平面図と建物図面作成時の注意点
これは手書きでも可能ですが、jwcadというWindowsのフリーのCADソフトで描きました。ネットでjwcad用の建物表題登記用の申請用紙のテンプレートを作ってくれている人がいたので、ありがたく拝借してそちらをベースに書きました。多謝!!
初めてjwcadを使いましたが、日頃Photoshopなどのレタッチやお絵かきソフトを使っていて、レイヤーの概念がわかっていれば半日あれば使い方はわかります。こちらもすごいソフトですね。フリーソフトなのが信じられないぐらいの高性能です。先のテンプレを使って、建築確認申請でハウスメーカーが提出した図面をベースにあっというまに書けました。
なお出力はプリンターを使わず、一度jwcadからPDFで出力して、PDF化したデータをコンビニ出力する形でも問題なかったです。ただし、紙面に出力後に縮尺がちゃんと合っているかは長さを測って確認しましょう。
自分はセブンイレブンのコンビニ出力を使いました。ここのシステムはフジフィルムのものです(2024年現在)。よくネット上では日本法令で売ってる専用紙を使う方がいいみたいな話もありますが、コンビニコピー紙に印刷で問題なかったです。手書きだとそっちの専用紙をつかった方がいいでしょうが、CAD出力だと印刷位置決めとか面倒くさいですしね(可能ではあります)。ただし、使用した用紙が問題ないかは各地の法務局の裁量次第のようですが、昔と違って紙の質が酷いものはめったにないので、あまり気にしてないっぽいですね。
正直この図面はCADか手書きかで、法務局の中の人の印象が全然違うようですので(電話口や窓口でもCADで書いてありますか?って確認されました…)、可能な限りCADで書いた方がいいです。パソコンがあれば、jwcad使うことで無料で作成できますしね。
図面に記載する家屋番号は通常は申請時は未定ですので空白でもいいのですが、CADで書いてある場合、そこだけ手書きで追記すると見た目が悪くなるので、ほぼ決まっている場合(1つの地番に1つの建物しか建てない場合)は最初から書いておいて欲しいという法務局の中の人の要望で、再提出で書き直したときは図面に家屋番号をいれました。法務局には、そのまま提出した図面が保管されますので、ここらへんは拘った方がいいかもしれません。
新築日付の扱い
申請書の登記原因の項目で、建物の完成日を書きますが、ここは法務局によって見解が違うようです。
さいたま市では、絶対に引き渡しではなく完成日(建築確認検査完了日)の方です。一応最初に電話で事前に確認して引き渡し日でいいということで記載したらダメだしでした。そのため、他の委任状も申請書にもこの新築日付が登記原因のところに書いてあるので書き直す羽目になりました。
建築確認申請書
建築確認申請書の方は、1~6面と外観図、土地測量図など建築に必要な図面が一通り必要ですが、換気計算関連など建物自体に関係しないのは不要です。なお、建築確認証と異なりこちらは原本不要です。そのため、コピーを添付するだけでOKですが、原本還付請求する書類と同様にページ間で割り印が必要です。
これは、法務局の中の人が申請内容を検査するのに使用するだけなので、登記申請書の必要書類というわけではないが、書類検査のために必要なので要提出という扱いに注意です。登記申請のマニュアル本には必須必要書類に書いてなかったりするのは、そういう理由のようです。
原本還付請求する添付書類のコピーに入れる割り印の入れ方
原本還付請求する書類のコピー、及び付属資料のコピー(建築確認申請書など)は「原本と相違ありません」と記載したページから割り印(代理人が書く場合は代理人の印鑑)を入れる必要あります。
この割り印は、「原本と相違ありません」と記載してあるページを開始ページとして、紙の裏を折って、次の紙の表の面と一緒に割り印を入るというのを、前述のコピーした資料のページ数分やります。Nページ(折った裏),N+1ページ(表)の組み合わせで割り印です。
申請者の住民票
申請者の住民票を還付する場合には、両面印刷されている住民票の場合には必ず「両面」のコピーが必要です。大体住民票の片面はモザイクが全面に入ってますが、それもコピー必要です。
コンビニコピーだと両面コピーができないものがありますが、その場合には、表と裏のコピーをそれぞれ添付する形で問題ありません。
まあ、住民票はいくらでもとれるので、原本還付請求の対象外にしておくという選択肢でもいいとは思います。
建物図面に記載する道路の地番
建築した土地の隣接道路に地番がふってある場合には、建物図面には道路の地番を必ず入れます。ネットに転がっている建物図面のサンプルでは、道路に地番がないのが多いので要注意です。また、建物のある土地に隣接する土地の各筆の地番が入っていることは確認します。
今回登記した建物は、3筆は普通の土地で、道路に面しているものでしたが、そこに地番が入ってるので地番付きの道路の記載が必要でしたので、リテイクをもらって書き直しました。。
ちなみに道路はさらに半分にわかれて地番が振られていて大きな範囲を書くと面倒なので、ぎりぎり建物の四方が入る範囲で図面を描いく感じで対応しました。
建物の地番表記
正式表記は XXXX番地YY です。 XXXX番YY ではありません。 家屋番号は XXXX番YY です。建築確認検査証は「番」表記だったので番で書いていたら、引き渡し証明をもらうときにハウスメーカーに指摘されて地番記載に書き直し。実際に中の人に確認したら「番地」が正しいということです。
申請書に色々地番を記載する場所がありますので要注意です。
現地調査
土地家屋調査士が代理申請する場合、相応のプロがやってるからという理由で現地確認が概ねスルーされるようですが、素人が建物表題登記申請する場合は必ず現地調査が入ります。外観だけでなく、建物内に入ることもあるようですが、わたしの場合には特に立ち入りはなく外観を5分程度確認した程度で終わりました。
内部調査がある場合もあるため、引っ越し前に調査されるのがベターです。引っ越し前必須ではありませんが、法務局の担当者が報告書を追加で書く必要あるみたいです。
建物写真
土地家屋調査士の資格を持っていない素人が登記する場合、提出書類に家屋の4面写真と室内の写真を載せたページをつける必要あります。室内写真は、建築直後の家具が入っていない状態で撮影しておきましょう。
法務局の事前相談窓口
一応登記に際して事前相談を対面で受け付けてくれるのですが、今回の建物表題登記にはあまり役には立たなかったです。ただ、地番の間違いだけは指摘されたので無駄ではなかったのですが、結局他でリテイクされたので最終的にはあまり意味は無かった感じですね。
まぁ、基本的に相続登記とかそういうものの相談に使うものと思っておいた方がいいでしょう。さいたま市の法務局の場合、事前相談には予約が必要で相談が予約から1週間後になったりするので、そこまでしてやるぐらいなら、取りあえず書類を提出してリテイク部分を直すアジャイル開発みたいな感じで進めた方がいいかもしれません(法務局としては迷惑かもしれませんが・・)
雑感
1度やってみた思ったことは、建物表題登記は、1度は駄目だしされて書き直す羽目になる覚悟でやった方がいいとは思います。
ネットではカンタン!という風に強調して書いてありますが、地方法務局の違いや、担当者次第なところもあるとは思いますので、進めるのはなんだかんだでそこそこの覚悟は必要かと思います。
ただ、自分はさいたま市本局で申請しましたが、担当のHさんは親切丁寧に対応してくれたので、安心して申請できましたので助かりました。この場を借りてお礼のほどを。